A Friendly Textbook on
エージェントループ
まるごと入門
— LLM を "動かす" 仕組み —
Claude Code、Cursor、Codex、Devin ── コーディングエージェントはなぜ "動ける" のか。LLM・道具・ハーネスの三角形から、停止条件、コンテキスト管理、サブエージェント、人間の介入導線まで、プロダクトを超えた "エージェントループ" という設計パターンを文系・他分野エンジニアにも腑に落とす全10章+序章+終章+付録。
目次
序章
- 序章 — Claude Code・Cursor・Codex・Devin ── プロダクト名が違うのに、なぜ体感がここまで違うのか。賢さの大半を握っている「ループ」という設計パターンの正体を、本書はプロダクト横断で解剖する。
ループの原理
- 第1章 続きを書く機械 — ChatGPT も Claude も中身はただの「続きを書く機械」だ。それなのに Claude Code や Cursor は "動く" ように見える。両者の距離はどこから生まれるのか。本書の出発点となる、最も基本的な視点を固める章。
- 第2章 三角形の発明 — 第1章で置いた「LLM・道具・ハーネス」の三角形を、もう一段深く解剖する。ふだん意識されない「ハーネス」という役者が、ループを成立させるために何をしているのか、何をしていないのか、Claude Code・Cursor・Codex CLI・Devin を横断して腑に落とす。
- 第3章 三拍子のサイクル — ハーネスが回しているループの中身を、最小の三拍子 think → act → observe で捉え直す。なぜ「やりながら考える」が一気にやらせるより強いのか、2022 年の ReAct 論文に始まる系譜を、Claude Code・Cursor・Devin に共通する現代のサイクルとして腑に落とす。
- 第4章 終わりを決める — ループはいつ、誰の判断で止まるのか。LLM の自然停止・max_turns の上限・人間の介入 ── 三本柱の仕組みと弱みを並べ、「自分で終わりを決める」設計の危うさを腑に落とす。第10章の三大病と HITL への助走でもある。
道具と権限
- 第5章 function calling の正体 — テキスト機械であるはずの LLM が、なぜ Read(path) のような構造化命令を返せるのか。Anthropic の tool use、OpenAI の function calling、Gemini の function declarations ── 名前は違うが構造は同じ。JSON Schema を「契約」とする発想を、最小単位から腑に落とす。
- 第6章 良い道具・悪い道具 — 契約構造が同じでも、道具セットの設計次第でエージェントの体感は別物になる。description は LLM への「求人票」、粒度・権限・並列呼び出しは「動詞の解像度」を決める。Claude Code・Cursor・Aider を横断して、道具設計の急所を解剖する。
文脈とメモリ
- 第7章 コンテキストウィンドウ — 200k トークン、1M トークン ── どれだけ広い "机" を渡しても、エージェントの世界ではすぐ机が足りなくなる。ループが回るたびに紙が積まれ、机が散らかると判断が鈍る。コンテキストウィンドウという物理的制約と、その上で起きる context rot を腑に落とす。
- 第8章 メモリ階層と圧縮 — 有限な机の上で、なぜエージェントは数時間〜数日のループに耐えられるのか。システムプロンプト・プロジェクトメモリ・セッションメモリ・外部スクラッチパッド ── 四層に分かれた "記憶の階層" と、机を整理する "圧縮" の二つの技術を、プロダクト横断で腑に落とす。
賢く・安全に
- 第9章 計画とサブエージェント — ループだけのエージェントは「次の一手」しか考えない。大きな仕事を任せると途中で道に迷う。先に骨組みを書く「計画」と、ループの中にループを呼ぶ「サブエージェント」── ループに骨と分岐を入れる二つの設計判断を、プロダクト横断で腑に落とす。
- 第10章 三大病と HITL — ここまで積み上げたループ・道具・文脈・計画・サブエージェント。すべてを揃えても、エージェントは三つの代表的な病に倒れる。早すぎる終了・無限ループ・幻のツール呼び ── 三大病をどう抑えるか、そして最後の砦としての HITL (Human in the Loop) の設計判断を腑に落とす、本書のクライマックス。
終章
- 終章 — 本書で見てきた「LLM + 道具 + ハーネス」のループは、これからどう進化するのか。長時間タスク、マルチモーダル、エージェント間プロトコル、コーディングを超えた応用、評価 ── ループの次の地平を5つの軸で見渡して締めくくる。
付録
- 付録A 比較表 — Claude Code、Cursor、Codex CLI、Devin、Aider、OpenHands ── 本書で扱った観点で、6 つの主要コーディングエージェントを横並びに比べる。実行環境、道具セット、停止条件、HITL、サブエージェント、メモリ、拡張機構を一望できる比較表。
- 付録B Python で最小自作 — 本書で扱った「LLM + 道具 + ハーネス」の三角形を、70〜100 行程度の Python で実際に書いてみる。Anthropic API の tool use を使い、補完だけのチャットから始めて、ツールを 1 つずつ足し、停止条件で締めるまで、ループ全体を一歩ずつ組み上げる。
- 付録C 用語集 — 「エージェントループまるごと入門」に登場した主要用語を、章の流れに沿ってジャンル別に整理した索引。本書を読みながら詰まったときに帰ってこられる場所。